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SCADAは安全?ICSのセキュリティ現状と未来予想
第4次産業革命の波に乗り、SCADAなどの産業用制御システム(ICS)導入を検討している企業は増えてきているかもしれません。しかし、ICSの導入をする際は、セキュリティ面をしっかり意識しておく必要があります。では、現在のICSのセキュリティ現状や未来予想は、いったいどうなっているのでしょうか。
システムの進化と共に課題を抱えることになったSCADA
SCADAおよびICSは、その機能性の高さが注目される反面、セキュリティ面の脆弱性に課題を抱えているのが現状です。
これまではあくまで企業独自の仕様によって隔離されたシステムであったSCADAでしたが、社内ネットワークやインターネットに接続するシステムとして進化を遂げた現在では、外部からの攻撃の可能性が高まっています。
SCADAを運用するうえで見過ごせないセキュリティ面の問題
システムの変革によって外部から攻撃を受ける危険性も増してしまったSCADAですが、残念ながらセキュリティ面では多くの課題が見られます。その理由は、「パッチ不良率の高さ」です。
通常のシステムであれば、脆弱性が見つかればその部分を修正するパッチを当てて改善をしていきます。しかし、SCADA のシステムは IT システムとは勝手が異なるため、パッチをそのまま流用することはできず、制御環境に合わせたカスタマイズをしなければなりません。
このカスタマイズがうまくいかず、2011年当時SCADA用に開発されたパッチの60%は不良となってしまいました。また、単純にパッチを提供してくれる企業が少ないという問題もあり、SCADAはセキュリティ面において小さくない課題を抱えているのです。
SCADAおよびICSが歩む未来とは?
SCADAおよびICSがセキュリティ面で脆弱性を見せているのは間違いありません。しかし、現在では課題解決のためさまざまな試みがされているのも事実です。日本国内では、アメリカが公開しているシステムの脆弱性情報を、日本語で確認できるようになりました。
また、2014年には制御機器のセキュリティを認定する「EDSA認証」や、制御システム運用組織のマネジメントシステムを認定する「CSMS適合性評価制度」が確立。日本語によるセキュリティ開発が可能になりました。
加えて、企業によっては、サイバーセキュリティに強い人材育成に力を注いでいるところもあります。こうした試みが実を結んでいけば、将来的にはSCADAやICSの脆弱性を十分にカバーしていけるようになるでしょう。
まとめ
その機能性の高さから注目が高まっているSCADAやICSですが、セキュリティ面の脆弱性という明確な課題もあります。しかし、現在ではその課題解決のためさまざまな施策がとられているため、将来的には安心してSCADAやICSを利用できる未来がやってくるはずです。
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おすすめSCADAソフト3選
SCADAを導入するにあたって、自社の環境や仕様、既存機器との連携など、さまざまな点を考慮しなければなりません。開発や導入の工数やコストも含めてトータルコストを加味したうえで、おすすめのSCADAソフトを3つピックアップしました。
コストパフォーマンス、使い勝手など各機能を比較し、導入時・導入後に安心・安定して使用し続けられるかという点を考慮し、「コスパ」「実績」「知名度」別に参考となるパッケージ料金とカタログを紹介しているので、気になるSCADAの詳細を確認したうえで、どんな仕様での導入を検討しているのか、特別な開発が必要なのかなど、具体的な問い合わせを各社にしてみましょう。
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24時間稼働・既存設備のまま
導入したい製造業向けFA-Panel6
※引用元:FA-Panel6公式サイト
https://www.roboticsware.com/jp/fapanel-features/●一方が故障しても、もう一方が即座に切り替わって処理を継続できる二重化に対応。24時間365日の稼働が求められる製造ラインにも導入可。
●アンドン表示やガントチャートによる稼働監視、ノーコード帳票自動生成、100機種以上のPLCとの接続可能。“追加開発なし”で製造現場の改善サイクルをサポート。
●タグ数無制限・100機種以上のPLCに対応。既存の制御機器をそのまま活かせるため、低コストな導入につながる。
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監査・品質管理を強化したい
製薬会社・食品工場向けzenon
※引用元:zenon公式サイト
https://www.copadata.com/ja/products/zenon-software-platform/●FDA 21 CFR Part11やGMPに準拠した監査証跡・電子署名に対応しているから、品質保証や監査対応がスムーズ。
●高度なログ保存やアラーム履歴、帳票自動生成機能を搭載。
記録ミスや転記エラーをなくし、GMPにおける現場の記録業務の負担を軽減。●MQTT/OPC UA/REST APIといった新しいプロトコルにも対応。センサーや計測機器、MESと連携できるので、品質記録の一元管理、監査対応体制の強化に。
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停止や通信断が命取りとなる
大規模プラント・インフラ業界向けAVEVA Plant SCADA
※引用元:引用元:AVEVA公式サイト
https://www.aveva.com/ja-jp/products/plant-scada/●最大50万点のタグ・数百ノードへの接続が可能。大規模プラントでも、設備を分けずに監視できる体制を構築可。
●通信、サーバー、I/Oすべてに対して冗長化機能を備える。災害や障害が発生してもシステムが停止せず、安定した運用を維持。BCP(事業継続計画)対策としても有効。
●制御、運転、監視データを高速収集し、蓄積可能。タイムラグなく正確な制御判断ができ、事故や停止リスクを少なくできる。