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スマート工場化でSCADAを導入する必要性は?

Q.スマート工場化でSCADAを導入する必要性は?

製造分野におけるスマートファクトリーの広がりと同時にSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)が注目されるようになってきました。スマートファクトリーが工場の完全自動化とネットワーク管理、IoT化を示すのに対して、SCADAはそれら工場の状況を「見える化」して把握する大切な機能を果たしていきます。ここではスマート工場にSCADAを導入するメリットについて紹介します。

 

製造現場の「見える化」実現

SCADAにはさまざまな定義がありますが、ここでは「監視制御とデータ取得を目的としたFA/PAシステム」ということで語っていきます。従来の工場などの管理システムが機能的であることに最優先であり、当事者でなくては理解できないような内向きなものであったのに対して、SCADAではわかりやすいグラフィックと直感的に監視制御できるヒューマンマシンインターフェイスをめざしていきます。

またPLC(Programable Logic Controller)=「機械を自動的に制御する装置」との通信履歴や実績データの蓄積を行うことで、セキュリティ管理や異状時の対応などをプロトコル化していくことに役立ちます。

SCADAを導入する最大のメリットは、製造現場における「見える化」を実現する点にあるといえます。現場における役割としては機器設備やPLC、センサなどの操作機能、MESやERPなどの計画・実行機能の中間に位置して、意思疎通を容易にする役割を担っています。

スマートファクトリーを有する企業のサプライチェーンのなかで、各部門に公開される情報とされない情報を明確にしながら、最大限に全体情報を把握して状況にコミットメントしていくために最適化されたツールがSCADAといえるでしょう。

 

現場と経営を直結する

スマートファクトリーがSCADAを必要とするようになった大きな要因として、製造プロセスの複雑化があります。自動車を例にとれば、通常の乗用車で3万点の部品が使われていると言われます。そのサプライチェーンを管理するには、自社工場のみならず部品メーカーやレアメタルを含む金属などの材料調達状況までも視野に収めなくては、問題点が現れたときの状況把握と敏速な対応は困難になります。また、組み立て工程が複数の国に及ぶケースもめずらしくはなくなってきています。

このような状況のなかで、工場から数百~数千キロ離れた場所にある大都市の高層ビル内にある本社で「製造部門の状況がどうなっているか」把握するのは容易なことではありません。経営の無作為が、製造部門のブラックボックス化に直結し、経営判断のスピードを遅らせます。最悪の場合には、事故やスキャンダルなどの経営危機に直結する可能性も否めません。

SCADAによる製造現場の「見える化」は、現在のように複雑化した製造プロセスの把握につながり、敏速な経営判断をサポートしていくメリットがあります。工場内の個々の製造機械というミクロ情報から、工場全体、さらにはサプライチェーン全体というマクロ情報まで切り替えながらグラフィカルな処理により、本社オフィスの人々も製造現場の状況を理解でき、企業として必要な「次の一手」に道を開きます。

 

エッジコンピューティングへの移行もスムーズ

時代の趨勢はサーバを集約して集中的に管理するクラウドコンピューティングから、ビッグデータをネットワークの「エッジ」でいったん処理して通信トラフィックを軽減する分散型のエッジコンピュータに移行していくといわれます。

ビッグデータの収集や分析によるデータ量の巨大化のなかで、ビッグデータが帯域を圧迫し速度ダウンすることを回避するため高負荷処理をエッジサーバに分散し、リアルタイム性の要求に応えていこうとするものです。しかし、工場設備などの高額投資を必要とされる分野では、クラウドコンピューティングからエッジコンピューティングに移行するコストや時間の負担が大きくなることが危惧されてきました。

エッジコンピューティングは、スマート工場やIoTの分野でも期待されるものです。この場合、データをクラウドへ集約する前にその抽出・加工などの前処理をエッジサーバが行っていくことになります。

SCADAでは、基本機能としてすでに現場データの前処理を実現した上で、外部とのコミュニケーションを行っていきます。言葉を換えれば、エッジ以前からSCADA自体がエッジ的な役割を果たしてきたことになります。このため、SCADAをクラウドへつなげるだけでエッジコンピューティングのメリットを享受できることになり、また移行コストや期間に関する負担も最小限となります。

 

製造部門のデータ管理に最適

スマートファクトリーでは、全体の生産計画から個別の製造機械までロジカルにつながってシステム運用されることが必要になります。以下4つがすべて備わって、スマートファクトリーとしての有効性ある機能が果たせると言われています。

国内企業の趨勢を概観すると、1990年代後半SCADAが出現した時期に、多数の企業が導入を見送りました。MESとPLCを直接接続し、ベテランの生産管理技術者のノウハウとナレッジにより運営していくという選択をする企業も多かったようです。

このために製造現場の運営が職人的な経験主義に依存していて、次世代への継承を困難にしていました。

SCADAには、工場で起こったすべての事象をデータ化して、管理・継承していくという機能もあります。たとえば、最近導入に踏み切った製薬会社では、医薬品業界でのデータインテグリティ(データの完全性に対する担保)やパラメトリックリリース(医薬品の安全性保証)を目的としたデータの客観性と信頼性の確保が必要になり、その処方箋としてSCADAの機能に期待したそうです。

今後さらに製造に関わるデータの完全保存は、コンプライアンス面からも必須になっていくことが考えられています。そのなかでSCADAの利用もまた必然になっていくでしょう。

 

スマートファクトリー&SCADAで何ができるか?

SCADAのアプリケーションはあらゆる製造分野に対応するという利点があり、なかでも「自動車」「食品、飲料」「エネルギーインフラ」「医薬品」の分野がとくに有望視されています。

これらの領域で有用な機能として下のようなものが考えられます。

 

工場内の多様な設備の接続とリアルタイムのリモートシステム管理

シリアルデバイスサーバとIoTソフトウェアの利用により工場内の制御プラットフォームを統合し、機械の状態に関するデータを一元的に把握できます。リアルタイムの遠隔管理とモニタリングが実現します。

 

PLC、計器信号、通信プロトコルの統合

通信プロトコル変換プラットフォームにより、新旧のメーカーも異なった設備コントローラ、センサを接続し、プロトコルと信号ソースを統合。オートメーションと同時に情報化を達成します。

 

閉鎖型機器のデータキャプチャも可能に

SCADAにより、従来の工場自動化手法においては接続とモニタリングが困難と言われていた独立して動く閉鎖型機器のデータキャプチャ能力も可能になります。スマートファクトリーのなかで追跡不能な部分をなくし、文字通り工場の全体を集中的にリモート管理できます。