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生産性改善を目指すトヨタ自動車がSCADAを採用
日本を代表し世界に冠たる自動車メーカー、トヨタ自動車がSCADA「zenon」を採用しました。SCADA導入は日本の製造業では限定的といわれますが、トヨタ自動車はなぜあえて導入に踏み切ったのでしょうか?そしてまた、国内外13社もSCADAがある中で、なぜzenonが採用されたのでしょうか?導入で何が変わったのでしょうか?本記事ではこうした話題について詳しく解説しています。
トヨタ自動車が導入したSCADA「zenon」とは?
ここでは、「zenon」における今回の導入事例や、特徴・メリットについて紹介します。
zenonが持つ性能の特徴と効果
zenonは、オーストリアのCOPA-DATA社が開発したSCADAの一種で、あまり一般的には認知されていませんが、すでに30年の歴史(2020年2月時点)を持ち数々の実績とシェアを獲得している優秀なSCADAとして知られています。特に強みとしては情報把握の範囲さなどが上げられ、得られる情報も的確であるため大規模で工程数の多い工場などに向いているSCADAです。
zenonのもうひとつの特徴として挙げられるのは、外部ツールとの連携の幅やスマートフォンなどのような直感的な操作等、豊富な機能を有していることでしょう。製造現場における広範囲な情報収集はもとより、収集情報の製造現場における共有、不具合に繋がる情報の解析機能、タブレット端末での表示、作業情報のリアルタイム取得など、先進的な機能を有していることがzenonの強みといえます。
zenon導入による変化
広く正確な情報収集から、エラーの迅速な解析と改善まで期待できるzenonですが、トヨタ自動車はこのzenonを導入したことでどのように変化したのでしょうか?
今回特に改善されたのが「アンドン(ベルトコンベアの状態の稼働状態を報告するシステム)」。従来、生産現場で何らかの異常が発生した場合は、担当者が直接アンドンを確認し、現場に赴いて確認や分析を行うなど、人力に頼った鈍行なシステムで対処していました。そのため異常修正などの工程において、異常内容の確認・対処に必要なツールを取りに行く、といった無駄が発生したのが問題だったそう。
そこでトヨタはzenonとアンドンを連携させ、スマートフォンなどにアンドンの表示が可能なようにしました。現在では簡易メッセンジャーも連携させており、異常を即時に認識・必要なアプローチを確認することも可能です。
結果として、生産工程における様々なデータの一元管理とスピーディーな連携が実現されました。人手による情報収集と解析にかかる時間と手間を大幅く削減することができたので無駄がことごとく省かれ、生産設備の稼働率が向上し、スマートファクトリー化・見える化が実現したそうです。
そしてこの工場の見える化とスマート化を実現する上で大きな成果が挙げられると判断したからこそ、トヨタ自動車は「zenon」の大規模な採用に踏み切ったといえるでしょう。
まとめ
今回は、トヨタ自動でSCADA「zenon」が採用されたことについて解説しました。
本文でも紹介したとおり、SCADA「zenon」は表示機能だけでなく解析機能も有するなど、生産性改善のためには不可欠なテクノロジーです。
ただ、冒頭でも紹介したとおり、今日までSCADA導入は日本の製造業において極めて限定的でした。
今後もその潮流が続くかと思われましたが、しかし、自動車業界のガリバーともいうべき存在のトヨタ自動車で「zenon」が採用されたこと、しかも生産性改善で成果を挙げつつあることが明らかになったことで、今後は自動車業界といわず様々な製造業の生産現場において、SDCADAが続々と導入されていくことになるでしょう。
また今回はzenonが採用されましたが、SCADA各種は千差万別。
その点も含めて、SCADAを取り巻く産業界の今後の動向に注目したいところです。
情報参照元:IIoT Times「自動車産業におけるIIoT実現への取り組み」(https://iiot.jp/iiot_specials/is-0029/)
マイナビニュース「トヨタが目指すIIoT活用による生産性改善 - 堤工場でアンドン改善に着手」(https://news.mynavi.jp/article/20190902-884409/)
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