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パイプライン設備のSCADA活用

公共的な役割を担う場合が多いパイプライン設備では、SCADAを導入することでどのようなメリットが生まれるのでしょうか?このページではSCADAを活用するメリットをはじめ、活用事例や実際に導入されているソフトウェアなどを紹介しています。

パイプライン設備のSCADAが果たす役割とは?

SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)は、コンピュータによるシステム監視とプロセス制御を行う産業制御システムの一つです。その用途は幅広く、製造、生産、発電、組み立て、精錬などの工業プロセスやビルディング、空港、船舶、宇宙ステーションなどの設備管理など。水処理、水道、排水、下水処理、石油、ガスのパイプラインもまた、SCADAで管理するのに適した設備と言われてきました。

流体を輸送・供給するパイプラインは、公共的な役割を担う場合が多く、また石油コンビナートなどのパイプラインでは事故を起こした場合の被害が甚大になるため、人為的災害、自然災害、機械的な故障のいずれも限りなくリスクをゼロにすることが求められてきました。

一方でパイプラインの大きな特徴としてあるのは、設備が巨大で敷地が広大であるということです。たとえば機能トラブルや事故が起こった場合、人為的監視では、異状が起きて警報器が発報後、スタッフが現場に急行して状況を確認・修復にかかるまでの時間経過がリスクの拡大に結びつくことが多く、この面でもリアルタイム処理のできるシステム管理が適した領域とされます。

パイプライン設備のSCADAを活用するメリットとは?

SCADAが果たしていく機能は、特定の敷地または地理的に分散したシステムを集中的に監視制御していく点にあります。従来は、過去の工場やプラントのシステムが監視して得られた情報を人為的に確認して、人がアクションを起こす、または機械を操作するプロセスが必要とされていました。

これに対してSCADAは遠方監視制御装置(RTU)、またはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)が状況を常に監視しながら、収集されたデータが予め想定された数値を超えると、プロトコルに従って自動的に修復のための手続きがとられます。または、自動的に制御が行われ、たとえば水位が一定水準を保つようにコントロールされることにより、システム異状を解消できるというものです。

上記に述べたようにパイプライン設備においては、敷地が広大である場合が多く、監視→確認→修復→改善というプロセスのなかで人為的な作業が関わる比率が多くなればなるほどに、時間経過によるリスクが大きくなる特徴があります。

また、パイプラインの監視システムにおいてなんらかの数値異状が生じた場合、原因として考えられるポイントが分散したいくつかの地点である場合も往々にしてあります。どの地点での改善を優先するか、その作業成果を評価するかという手間が非常に大きくなり、ここでもリスク拡大の恐れが生じます。

これも前述したように、パイプライン事故は社会的影響も甚大な場合が多く、被害を最小限に抑えるためには「解決策までを自動生成できる」形のシステムが望まれます。この点においてSCADAに注目が集まるのは当然のことと思われます。

パイプライン設備のSCADA活用事例

最近のパイプライン設備におけるSCADA導入の事例には、日本のプラントエンジニアリング企業、横河電機による英国の大規模石油パイプライン設備向けの管理・制御システム受注が挙げられます。クライアントは英国における石油・ガスパイプラインの大手運営会社で、大規模な石油パイプラインを所有・運営しています。

今回のプロジェクトでは、英国北西部の石油積み上げ港から、南東部およびロンドンの主要空港に石油を輸送する総距離約650kmにおよぶ重要な社会インフラの管理・制御システムを更新します。

納入される主な製品は、石油製品の配送スケジュール管理やタンク内の在庫管理などを行うパイプライン管理ソリューションパッケージと、石油パイプラインやポンプなどの装置を監視制御するSCADAソフトウエアです。

パイプライン管理ソリューションパッケージにおいては、石油・ガスパイプライン操業のための管理機能を有していて、監視制御を行うSCADAの情報に関しても統合・管理を行っていきます。

システムの開発、納入、試運転に関わるプロジェクトの進行は、現地法人のグループ企業が行います。これだけ規模の大きいパイプラインの管理・制御システムは世界を見渡しても非常に例が少ないだけに、大きな注目を集めるものとなりました。

パイプライン設備のSCADAを活用するなら

従来、パイプラインの管理・制御は敷地内の管理センターで行うケースがほとんどでした。しかし、ネットワーク技術の進歩により近年は、本社オフィスのなかで情報を管理し制御を行うケースも増えています。また、大規模なパイプラインを保有している企業は多国籍に拠点を持つケースも多くなっているので、海外の設備を監視・制御するようなケースの拡大が考えられます。とくに石油パイプラインなどに関しては、国際的なテロリスト組織のターゲットとなることも想定されます。

こうしたなかで、SCADAの運営・管理に関しても従来とは比較にならないほどにセキュリティ対策の重要性が増していると言われています。従来は、設備の敷地内におけるローカルなネットワークだったSCADAにおいては、セキュリティの重要さが浸透しておらず、今後グローバルネットワークのなかで動くSCADAシステムのセキュリティ性能向上は大きな課題となってきそうです。

パイプライン設備に導入されているSCADAソフト

JFEエンジニアリング JFE-SCADA

JFEエンジニアリングは、1980年代よりパイプライン向けの遠隔管理システムのエンジニアリングをおこなってきました。ここから発展したのが遠隔監視に適したJFE-SCADAというアプリケーションです。システムは中央監視装置、通信ネットワーク設備、遠隔端末装置から構成されます。

他社製品に比較して、JFE-SCADAが保有する優位性は(1)データベースの待機冗長化による、通信負荷の半減、データベースサーバの信頼性確保、通信費用の低減化、(2)データベースの等値下処理による他システムからのデータ参照・蓄積データ移行の容易さ、(3)通信回線の待機冗長化によるバックアップ回線に対する通信負荷の低減などが挙げられます。

横河電機 パイプライン管理ソリュージョンEPMS

原油価格の下落のなかで、石油・ガス大手企業の設備投資減少がはじまっています。一方で、パイプラインを保有する企業はランニングコストを低減するために、パイプライン管理システムの導入に大きな力を注ぐようになってきました。

横河電機のパイプライン管理ソリュージョンEPMS(Enterprise Pipeline Management Solution)は、このような石油・ガスパイプラインの管理・制御において世界各地のパイプラインへの導入実績を持つアプリケーションとなっています。

ビジネスおよび製造システム統合に関する規格ISA-95では、パイプライン・システムは管理システム層、監視システム層、制御システム層、現場機器層に分かれますが、EPMSは管理システム層に分類されます。機能としては、下位層から情報を収集し、パイプラインの最大流量、過去の実績などと総合的に分析を行いながら、HMI(Human Machine Interface)に表示していきます。

従来のSCADAがアプリケーションをゼロベースで作成する必要があったのに対して、EPMSでは既に用意されたテンプレートをプロジェクトに応じて実体化していくエンジニアリング手法を採用しています。このために、システム運用者に高いプログラミングスキルを要求せず、短期間で管理システムを稼働できるメリットがあります。

また、従来のパイプライン・システムにおける管理システムは、複数のベンダーが一つのSCADAを構成する複数のアプリケーションを提供していました。これに対して、EPMSでは、横河電機およびグループ会社がシングルベンダとして提供するため、開発が短期化で終了しセキュリティホールを発生させるリスクも低減できます。

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おすすめSCADAソフト3選

SCADAを導入するにあたって、自社の環境や仕様、既存機器との連携など、さまざまな点を考慮しなければなりません。開発や導入の工数やコストも含めてコータルコストを加味したうえで、おすすめのSCADAソフトを3つピックアップしました。

コストパフォーマンス、使い勝手など各機能を比較し、導入時・導入後に安心・安定して使用し続けられるかという点を考慮し、「コスパ」「実績」「知名度」別に参考となるパッケージ料金とカタログを紹介しているので、気になるSCADAの詳細を確認したうえで、どんな仕様での導入を検討しているのか、特別な開発が必要なのかなど、具体的な問い合わせを各社にしてみましょう。

  • 01コスパ

    COST PERFORMANCE

    FA-Panel6

    tag数無制限1クライアント:250,000円(※2)

    株式会社ロボティクスウェア|FA-Panel6のカタログ表紙

    引用元:株式会社ロボティクスウェア公式HP(https://www.roboticsware.com/pdf/pamphlet/FA_Panel6.pdf)

    標準装備の幅広さに加え、日報作成などの便利な機能がパッケージに組み込まれ、追加開発や管理拡大時にもほぼ追加購入は不要。導入後のトータルコストを含めてコスパの良いプランで提供されています。

    公式HPで公開されている
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    公式HPで
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  • 02実績

    INTRODUCTION RECORD

    zenon

    16tag制限プラン:150,000円(※3)

    株式会社リンクス|zenonのカタログ表紙

    引用元:株式会社リンクス公式HP(https://linx.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/01/linx_pamp_1912_COPADATA.pdf)

    トヨタなど世界のトップメーカーが導入したSCADA/IIoTプラットフォーム。150,000円からのOperatorライセンス開発版(含むテスト用ランタイム)も用意されており、最小構成での導入も可能です。

    公式HPで公開されている
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    公式HPで
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  • 03知名度

    MAJOR BRAND

    JoyWatcherSuite

    tag数上限65,536点開発版:428,000円(※4)

    ジェイティ エンジニアリング株式会社|JoyWatcherSuiteのカタログ表紙

    引用元:ジェイティ エンジニアリング株式会社公式HP(https://secure-link.jp/wf/?c=wf35964003 ※5)

    JTE設立以前より開発していたDCSから、現在のJoyWatcherへと時代に合わせた変化を遂げてきた純国産のSCADA。高い操作性を誇り低コスト・短期間で手軽に監視システムを構築できます。

    カタログダウンロード用
    入力フォームを見る(※5)

    公式HPで
    機能詳細を見る

【選定条件】
tag数無制限プランでコスパの良いソフト、大手メーカーへの導入実績が豊富なソフト、検索数の多いソフト(SCADA-MAGAZINE調べ)
※1 価格はすべて税抜表記。各メーカーで標準仕様は異なるため、詳細は必ず見積もりを取って確認してください
※2 クライアント数別にプラン設定されています(10クライアント:300,000円、20クライアント:400,000円)
※3 タグ数64、PLCドライバ1つ、トレンド&ヒストリアン限定版のみ。同一PCで動作する同等のランタイムライセンス一本含む
※4 開発版のみの価格となります(本体版は128,000円)
※5 カタログのダウンロードは登録制となっているため、登録ページのURLを表記しています