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東京電力パワーグリッドが海外輸出を本格化する次世代監視制御システム(SCADA)とは?
欧州に遅れは取っているものの、日本でも徐々に浸透し始めているSCADAの導入。なかでもSCADAの開発・輸出に注力をしているのが、東京電力パワーグリットです。SCADAを海外に輸出するという目的によって、コンサルティング会社「TEPCO IEC」を新設するほどに力を入れている東京電力パワーグリット。その企業が開発するSCADAは、どのようなものなのでしょうか。
東京電力パワーグリットが開発したSCADAのコンセプト
東京電力パワーグリットでは、以下の5つのコンセプトを実現させたSCADAを開発しています。
- 経営合理化・徹底的なコストダウンへの貢献
- 国際標準規格の採用
- 世界高水準のセキュリティ品質を担保
- 電力品質の維持・向上
- ITとOTの融合による価値創造
なかでも注目したいのが、世界高水準のセキュリティ品質です。災害大国日本のSCADAならではである非常時対応に加え、近年増加しているサイバー攻撃への対処もよく考えられた機器となっています。
災害大国だからこそ求められる「強いSCADA」の実現
日本は地震や台風など、天災が多発する国として知られています。特に2011年に発生した東日本大震災は、電力インフラに携わる企業に数多くの教訓を残しました。東京電力パワーグリットでは、以下のような機能を搭載したこれまで以上に「強いSCADA」を目指し開発を続けています。
系統操作手順の自動作成機能
現在系統から将来系統に至るまで、操作対象設備を指定さえすれば、SCADAが自動的に系統操作手順を作成してくれます。
コントロールエリア変更が可能
緊急事態が発生し、コントロールエリアに異常が生じた際、他のコントロールエリアからのバックアップ制御が可能です。
音声ガイダンス機能
異常が発生した際、周囲がしっかり「系統事故情報」を把握したり、オペレーション時の確認をしたりするために、音声でガイダンスがされるようになります。
訓練機能の搭載
オペレーションの端末によって、系統制御業務の訓練が可能になりました。訓練内容として過去の事故を模擬するのも可能であり、万が一のトラブルに備えしっかりした備えができます。
設備保全組織への情報通知
情報消失を防ぐため、コントロールセンターの情報を適切な形に加工した状態で、設備保全組織に通知します。
海外企業の技術を導入し、サイバーセキュリティ機能が大幅に向上
近年では世界中でサイバー攻撃のリスクが高まっており、SCADAにおいても万全の備えが求められています。そこで東京電力パワーグリットでは、オランダの企業であるコンピュマティカ社と提携し、高いサイバーセキュリティ機能を実現。
コンピュマティカ社の高い技術により、ファイアウォールを流れる情報を細部にわたるまでチェックできるようになりました。これにより、悪質なウイルスの検知能力も向上。他のSCADAに比べ、サイバー攻撃に対しての防衛機能には高い信頼が寄せられています。
まとめ
東京電力パワーグリットが開発するSCADAは、これまでのSCADAにはない高いセキュリティ性能を搭載しています。SCADAのセキュリティ面は近年改善が求められているポイントのため、海外でも注目を集めるのは間違いないでしょう。
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